ウナギ

 昨今のウナギ生産量の低下に伴う鰻重の値上げはわれらの政治的意思をさらに先鋭化させた。マグロのそれについても悩ましいことではあるがウナギに比べれば大きな問題ではない。
 同志諸君はマグロと言われて思い浮かべるものは何だろうか。おそらく寿司ネタとしてのマグロだろう。回転寿司におけるマグロだろう。大手回転寿司チェーンの興隆は久しいものがあるがそこではマグロは比較的安価な部類として広く国民に親しまれておりもはや寿司と言えばすなわちマグロである。翻ってウナギをみるにどうであろうか。古来よりこれはちょっとした高級食材であった。なぜならば私はウナギが鶏肉のように串に刺された状態で露店で売られている光景を見たことがない。加えて鰻重は文字通り重箱におさめられているものであって重箱とは漆塗りの容器のことである。このようにウナギは一筋縄ではいかない性格を備えている。
 然るにここのところウナギの値段が騰がってきている。これは前述したように生産高の低下でありまた消費量の高上のためである。報道機関によって再三伝えられているごとくウナギはその生態が不透明な部分が多くそれがために普通養殖においてみられるように卵から養殖をなすには相当の困難があるからして今の今まで生産量の計画的増加の手が打たれてこなかった。しかし最近になってわが国の研究機関がウナギの完全な養殖への具体的な一歩を踏み出した。こののち万難を排してウナギ大量生産に向けた猛進をなすであろう関係諸機関にわれらは革命的信仰を寄せるものである。われらの政治的意思をウナギは体現するだろう。あの体格をいまこそ思い起こしてみてほしい。

  • 最終更新:2012-12-04 16:48:46

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